レンガ倉庫VS軟石倉庫、寒さに強いのはどっち?

先日の取材先です。今では残り少なくなったレンガ造りの元りんご倉庫です。1階は平岸天神太鼓の練習場、2階は平岸中央商店街の事務所になっています。

 

この倉庫は、りんご農家の2代目にあたる中井昭一さんが生まれた昭和10年に建てられたもので、建築当初は平岸街道沿いに建っていました。

 

中井さんは木の花団地が造成される昭和36年頃までりんご農家を営んでいましたが、宅地化の波にのまれ廃園。りんご倉庫も潰す予定でしたが、平岸の象徴であるりんごの痕跡を残したいと、現在地へ移転しました。

 

この倉庫の裏側に回ると・・・

 

なんと札幌軟石の倉庫も建っています!札幌軟石でできた建物を調査している札幌建築鑑賞会様のホームページ『札幌時空逍遥』によればレンガ造りと軟石造りの倉庫が並んでいるのはかなり珍しいとのこと。

 

以下、このホームページを参照させていただくと、軟石倉庫が建てられたのは昭和5年~6年頃で、最初は軟石で建てたが、レンガのほうが積みやすかったので、二棟めはレンガにしたそうです。

 

ただ、軟石倉庫の方が断熱性にすぐれ、厳寒期のシバレにも強かったとのこと。札幌軟石は、4万年前の支笏火山が大爆発した時の火砕流が冷え固まったものですから、火山ガスが抜けたあとの細かい穴が無数にあり、穴の中の空気が外気をシャットアウトするため断熱性が高くなる特徴があります。

さて、こちらの札幌建築鑑賞会のこれまでの活動成果が6月10日から7月10日まで、札幌市中央図書館1階資料展示室にて展示されています。10年間の活動で確認した軟石建物はなんと322棟!

 

ちなみに、平岸に現存するのはわずか◯棟になります(答えは実際の展示で確認してみてください)。

 

また、6月25日14時から中央図書館3階講堂にて、札幌建築鑑賞会代表杉浦正人氏による第38回サイエンス・フォーラムinさっぽろ「札幌は“石の街”だった!?わが街の文化遺産 札幌軟石」という講演会が行われます(詳しくは、こちらのページから)。歴史に興味のある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

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