“奇跡の高校”から学んだこと

最近では“奇跡の高校”とも呼ばれ、全国的に注目されている札幌新陽高校の荒井優校長とはじめて出会ったのは今から1年半前のことでした。道新りんご新聞の取材という名目でしたが、着任からわずか1年で経営を立て直した手法を知りたいというのも取材の目的の一つでした。

 

そこで伺った経営論を私なりにまとめると、

①「どうやって」というHow to論よりも、「何のために、誰のために」自分たちは存在するのかというビジョンを明確にする

②「本気で挑戦する」覚悟

③「本当の顧客は誰か?」自分たちの存在意義を徹底的に問い直す

④以上を土台としてPDCAサイクルをぐるぐる回す

このあたりだと思っています。

 

印象的だったのは「高校の顧客は生徒ではなく、保護者である」とのお話でした。平日は仕事に忙しく、子供とろくに会話ができない母親が、日曜日の夜に晩御飯を子供と一緒に食べるとき、子供が嬉しそうに高校であったことを親に話す・・・そういう学校なら親は入れてよかったと思ってくれるはずだ、そういう学校を作るんだということを熱っぽく語ってくれたのを覚えています。

 

それでは、新聞販売所の本当の顧客とは誰でしょうか?私は「地域を大事にしたい人」だと思っています。今の時代、インターネットで1,000キロ離れた人とも簡単に繋がることができます。一方、となりのマンションの住人の名前も知らないということも珍しくありません。家族や友人が同じ空間にいるのに、それぞれに関心をもつことなくスマホばかり覗いている・・・こんな社会はやはりどこかおかしいと思っています。仮想のつながりではなく、リアルな人間関係を、自分たちが暮らしている地域を大事に思っている人達。そういう人達を顧客にしたいと思っています。

 

先の胆振東部地震でもそうでしたが、何かあったときに地域を支えるのは、その地域に暮らしている人々です。地域の課題に寄り添い、少しでも暮らしやすい、住んでいて面白い地域を作るお手伝いをする・・・そんな会社にしたいと考えています。