「慰安婦は捏造」パネル展 豊平区民センターで開催 市は制限には慎重姿勢

12月23日北海道新聞朝刊23面より
12月23日北海道新聞朝刊23面より

※12月23日北海道新聞朝刊23面より引用

 

戦時中の従軍慰安婦問題について「捏造された歴史だ」と主張し、日本の加害責任を否定するパネル展が今月3、4日、豊平区民センターで開かれました。

 

「歴史写真展 史実に見る慰安婦」は、保守系団体・日本会議の北海道本部が後援し、実行委にも会員が入っています。

パネルは慰安婦について、当時法的に容認されていた公娼制度と「おおむね同じ」と主張。旧日本軍が侵攻したビルマ(現ミャンマー)で慰安婦だった朝鮮半島出身の故文玉珠(ムンオクチュ)さんを取り上げ、文さんが約2万6千円を蓄えていたとして「慰安婦の所得は(軍の)大将を上回る高額」と説明しています。文さんの回想録から、兵士の1人に恋をしていたことも抜粋した。

 

ただ、日銀の調査では、文さんがいたビルマは超インフレで貨幣価値が暴落しており、文さんの回想も憲兵らに連行され慰安婦になり、連日多くの兵士の相手をさせられて涙したり、暴力を受け骨折したりとつらい経験が大半です。

 

札幌市には展示への抗議や、施設を使わせないよう求める意見が約30件寄せられています。これに対し、秋元克広市長は6日の定例市議会で、関連質問に「パネル展は主催団体の歴史認識を表明したもので、ただちに利用を不承認とすることにはならない」と答弁。表現の自由の下で、施設の利用制限は抑制的にすべきだとの判例を踏まえています。

 

学生と元慰安婦を訪問する学習を行ってきた神戸女学院大の石川康宏教授は「何が真実なのか、市民一人一人が考え、確かめる責任がある」。慰安婦問題を扱う教育や報道が少ない現状を懸念し、社会がもっと歴史に向き合うよう訴えています。

 

「慰安婦は捏造」パネル展 「人権侵害」と抗議の声(どうしん電子版紙面ビューアーから「12月23日」の「道央」「札幌」のページを選択して下さい)

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