ブラタモリ沖縄・首里編に見る”平岸”の語源

ブラタモリ沖縄・首里編を見ていて、平(ひら)は沖縄では坂を表すという話題が出ていましたので、平岸の地名の由来と絡めて、ひら(日本語)・ピラ(アイヌ語)・平(漢字)の関係について、お話ししたいと思います。

平岸の地名が、アイヌ語の「ピラ・ケ」から来ているというのは、聞いたことがあると思います。ピラが崖、ケがはじっこで、平岸と中の島の間の精進川沿いの崖が豊平川に向かって途切れていく様子から名付けられたと言われていますね。

 

このアイヌ語の”ピラ”は、もともとは原始日本語の”ひら”から来ています。

アイヌ語が成立するより数百年前に書かれた古事記の中で、あの世とこの世を結ぶ黄泉平坂(よもつひらさか)という地名が出てきます。

ここで出てくる”平(ひら)”は上り坂という意味で、もともとの日本語には”ひら”という字には、平らという意味はありませんでした。

中国から漢字を輸入した際、”ひら”に”平”という字をあててから、平らという全く異なる意味に変わってしまったのです。

 

日本の中央で最新の漢字の意味が広まる一方、辺境の地である沖縄や北海道では原始日本語の”ひら”が、坂とか崖という意味でそのまま残されました。

北海道では、本州の鎌倉時代にアイヌ文化が始まりますが、この過程で”ひら”が”ピラ”に変わったと思われます。

つまり、沖縄の”ひら”と北海道の”ピラ”は、ルーツは同じということですね。

 

このあたりの話は、FMアップルで昨年お話していますので、興味のある方はこちらから聞いてみてください(2015年5月21日放送 平岸地名考~北海道に平岸は三つあった 22分~24分あたり)。

 

ブラタモリよりも半年以上早く、”ひら”の語源と黄泉平坂について語っている証拠です(笑)

 

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